歯周病と全身疾患

⻭と⻭茎の間には⻭⾁溝というわずかな境⽬があり、清掃が⾏き届かず、そこにプラーク(歯垢)などの汚れが蓄積すると、⻭茎に炎症が起きて腫れて⻭周病になり、その状態が進行すると、⻭茎の炎症に関連した物質が⾎管を経由して体中に⾏き渡り、様々な病気を引き起こす原因となってしまいます。

歯周病と全身疾患

今回は⻭周病が引き起こす様々な疾患についてご紹介いたします。

 

糖尿病

⻭周病は糖尿病の合併症のひとつと⾔われています。

歯周病が⾎糖値を下げようとするインスリンの働きを悪くし、⾎糖コントロールが悪くなり糖尿病を悪化させてしまうという報告もされています。

糖尿病患者による歯周病の新規発症率は、糖尿病でない人に比べて約2.6倍。血糖のコントロールが悪いと歯周病がより重症化しやすい傾向にあります。

相互に悪影響を及ぼし合っていると考えられるため、⻭周病の治療で糖尿病が改善することもわかってきています。

糖尿病

メタボリックシンドローム

糖尿病との関係にもありましたが、⻭周病菌には、インスリンの働きを抑えて⾎糖値を上昇させる働きがあります。また、動脈硬化などその他の疾患も密接に関わり合うため、⻭周病はメタボリックシンドロームとも関連性が⾼いと考えられています。

歯周病にかかっている人は、4年後にメタボリックシンドロームになるリスクが高いという研究結果も示されています。

メタボリックシンドローム

 

誤嚥性肺炎

唾液中に含まれる⻭周病菌を誤嚥することで、気管に⻭周病菌が⼊り込み、炎症を引き起こします。嚥下機能の低下によって引き起こされることが多くなるので、特に⾼齢者や免疫⼒が低下している⽅は注意が必要です。

誤嚥性肺炎

 

早期低体重児出産

⻭周病菌は全身に行き渡り、胎盤を通して胎児にも影響を与えるため、早期低体重出産の確率が⾼まると考えられています。

⼥性ホルモンの影響で虫歯や⻭周病になりやすくなりますので、しっかりプラークコントロールを行いましょう。気分の良い時に歯を磨いたり、できない時はうがいをするなど工夫するといいでしょう。

早期低体重児出産

 

⼼疾患

⻭周病菌は⾎管を通り、炎症に関連した物質が動脈硬化を促進します。

血管壁に炎症することで動脈硬化を起こし、狭心症・心筋梗塞の原因となります。

⼼疾患

 

このように歯周病は、口腔内だけではなく、心臓や血管などの器官にも悪影響を及ぼします。歯周病の早期発見は、全身の健康を守るためにも重要であることを認識し、早期治療あるいは予防するよう心がけましょう。

 

参考

公益財団法人ライオン歯科衛生研究所

https://www.lion-dent-health.or.jp/100years/article/health/001.htm

 

宮崎県歯科医師会

https://www.miyazaki-da.or.jp/culture/d-and-p-2

 

特定非営利活動法人 日本臨床歯周病学会

https://www.jacp.net/perio/effect/

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